オーガニック(有機)の葡萄から出来たワインは慣行の葡萄から出来たワインより美味しいのか?

認証を取る前からずーーーっと考えていて、個人的に難しいなといつも思うのが掲題の件。

「じきの畑」が有機を実践しているのは、「有機の葡萄から造ったワインは慣行の葡萄から造ったワインより美味しいと思うから」ではありません。
もちろんマーケティングのためでもありません。

有機を実践し、認証を全圃場で取得しているのは、オーガニックというものが「じきの畑」の生活スタイル(生き方)だからです。
そもそもで農業を始めたのは、後世に繋げられる持続可能な営みをこの現代社会でより実践的に送るための手段(職業)は何か?と考えたためでした。
自然の中に身を置き、天地(あめつち)からの恵みを一番ダイレクトに享受できる仕事とは何か?
出た職業はお天道さんの下で営む農業でした。
極端なことを言えばあらゆる農業は自然破壊だと思います。
ただ、その中でも可能な限り自然と共生し、環境への負荷を考えた場合、田舎での有機農業という選択が残ったのです。
(※自然農は有機農業に包含されると考えていますので、敢えて自然農とは記載しません)
私たちにとって農業は生活スタイル(生き方)の実現のためのものであり、目的ではなく手段と考えています。
ワインは物凄く好きで愛していますが、これを造っているのも生活スタイルを実現する上での手段と考えています(私にとってもっと根本の理由もありますが今回は割愛します)

それで掲題の件です。

今のところ出ている答えは有機も慣行も造りが同じ場合(選果のレベルなど合わせた場合)、出来上がったワインに大きな違いはないのでは?と感じています。
もし違うという方がいれば、是非ブラインドで当ててみてほしいものです。
慣行で育てた葡萄を低So2で、丁寧に造ったものであれば当てることは至難の業だと思います。
(有機の野菜や果物だと時間が経つにつれ、腐敗するのではなく、萎凋するというのはありますけどね…)
ただし、特定の化学農薬を収穫直前に撒くとワインへ玉ねぎ臭を着けてしまったりもするので、色々分かった上での慣行農法で作られた葡萄を使ったと仮定してです。
慣行と有機の葡萄を比較するためHPLC等使って成分分析して、ワインへの影響が導き出せれば面白いだろうなぁとは思います…。

「有機で作った葡萄で造られたワイン」という情報を聞いた上でワインを飲んだ時は違いが感じられる可能性があると思いますが、今のところ私は、ワインは造られたバックグランドや生産者情報等が1つのエッセンスとなり、その影響からある意味で頭で飲むもの(ある程度の食材は頭で食べたり、呑むもの)なのだと考えています。
ただ、いくら興味を惹かれ、素晴らしい情報があるワインでもロクなものでなければ、その土俵にすら上がれないのは当然ではあると思います。
以前は、慣行以上に手間暇がかかっている有機の野菜には作っている人の強い想いが込められているので味が変わるのかな?とも考えたりしましたが、ことワインについては慣行でやっていても本当に丁寧に、真摯に葡萄に向き合っている方々がいます。
その姿を見ると葡萄栽培に対する姿勢は有機だろうが慣行だろうがそこまで大きく変わらないように思います。個人の見解なので鋭い方は分かるのかも??

というわけで現段階で違いはそこまでないのかな?というのが私の答えになっています。
自分の中では事前情報無しに飲んでみて美味しいワインが、調べてみたら有機だったってのが理想なんですけどね 笑
ナチュールの造り手は総じてオーガニックであることが多く、サンスフルもしくは極低so2なので、そういうところに収束はしていくんだと思います。
ということで、万人受けするものは造れないと思いますが、特定の人に刺さるワインを造っていけたらと思います。

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