ボルドー液の銅量について

2023.4に加筆修正しました。

色々な農薬会社から色々なボルドー液が出ています。
有機志向の醸造用葡萄栽培家の多くがボルドー液を使用していると思います。
更に言うと、フランスに倣って畑に散布する銅の量についても気にしている方も多いです。

口頭では、何となくや見た目的にどうのこうの言っている節が多く見受けられるため、今回各社の出しているボルドー液を推奨している最低希釈倍率で1000L散布した時の銅量を調べてみました。
驚いたところと、まぁそうかなと思ったところがあるので参考にしていただければ。

※1000L薬液を造るとして※
ICボルドー66D  銅含有量3.7% 最低希釈100倍  薬剤10000g⇒銅量370g
ICボルドー48Q  銅含有量2.5% 最低希釈50倍   薬剤20000g⇒銅量500g
Zボルドー    銅含有量32%  最低希釈800倍  薬剤1250g⇒銅量400g
園芸ボルドー(※)銅含有量35%  最低希釈800倍  薬剤1250g⇒銅量437.5g
サンボルドー  銅含有量44%  最低希釈600倍  薬剤1666g⇒銅量733.04g
ムッシュボルドー銅含有量40%  最低希釈500倍  薬剤2000g⇒銅量800g
コサイド3000  銅含有量30%  最低希釈2000倍  薬剤500g⇒銅量150g
クプロシールド 銅含有量14.8% 最低希釈1000倍  薬剤1000g⇒銅量148g
(※園芸ボルドー≒イデクリーンなので園芸のみ記載)

これを見ていただくとわかりますが、クプロシールドとコサイドが銅量としてはとても少ないです。
コサイドが他薬剤と違うのは、銅としてではなく水酸化第二銅としてなので2000倍希釈という倍率でも効果があるんでしょう。
クプロシールドはフロアブル製剤のため展着能が認められるためここまで銅量が少なくて済むのでしょう。

一番驚いたことはICボルドーです。
このボルドー液、石灰の影響で白い痕が残ることから見た目的に銅の量スゲーんじゃねえの???って思われている気がします。
でも実はそんなことはないのが分かります。
更に銅量を気にする農家は48Qを好んでいるイメージでしたが、希釈倍率を製造メーカーの推奨値に合わせると、66Dの方が少なく済みます。
ちなみにICボルドーの66D、48Q、412(412は葡萄では使えません)の3種類の違いはご存知でしょうか?
これは石灰と銅の配合比率を表しています。
66D→銅:石灰=6:6
48Q→銅:石灰=4:8
412→銅:石灰=4:12
これだけを見ると葡萄に使える48Qと66Dについては48Qの方が少ないようにも見えるかもしれません。
が、メーカー推奨の最低希釈倍率で合わせるを先のような結果になります。
時と場合によって使い分けるのが良いと思いますが、自分は66D派ですね。
因みに銅の量が多いほど薬効は出やすくなりますし、石灰量が多い方が残効が長くなります。

それとボルドー液+クレフノンとICボルドーとは何が違うのかというと展着能が明らかに異なります。
ICについては調合時に既に銅と石灰が合わされ、その中でカルシウムイオンと銅イオン間において化学的に強く結びついているので白い石灰が葉に付着している限り、銅が葉から落ちることは少ないため薬効が長く続きます。
ボルドー液+クレフノンで散薬するくらいならICを勧めます。
園芸など硫黄系のものも撒きたいという別の理由や銅量をコサイドにするほど気にしないのであればICを使用することを勧めます。
因みにツル割れ細菌病については効果はZボルドーだけ記載がありますが、ボルドー液全般に薬効が認められているのでZボルドーをあえて使う理由はないと考えます。

なので極端に銅量の多いサン、ムッシュは省いて、薬害の出やすい園芸(過去幼木にて薬害発生。クレフノン使う方が無難)も避けるとなるとIC66D、クプロシールド、コサイドの使用に絞られるかなと思います。
雨量計を作製しているので、残効ギリギリを攻めつつボルドー散布を今後も続けるつもりです。

あ、あと魚毒性を心配する方もいますので(銅は鉱毒事件でも多く出てくるからかな??)下記調べました。
どれもこれも魚毒性Bと結構な毒性です。IC412は魚毒性Aですが葡萄は適用外ですね…。
ICボルドー66D⇒魚毒性B
ICボルドー48Q⇒魚毒性B
Zボルドー⇒魚毒性B
園芸ボルドー⇒魚毒性B
サンボルドー⇒見つけられず
ムッシュボルドー⇒魚毒性B
コサイド3000⇒魚毒性B
クプロシールド⇒魚毒性Ⅱ(≒魚毒性B)

因みに滋賀県は琵琶湖を抱えているので、ずいぶん以前からボルドーは使用禁止のような記載を他HPで見たことがあります。

海外ではベト対策可能なBTの開発もされつつあるようです。
ボルドーには頼るしかない部分はありますが、新たなものの開発も期待するところです。

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