自家醸造の必要性

じきの畑がある余市町ではタケノコが如くワイナリーが立ち始めています。
今後3年以内に10件以上増えるそうな。
この流れは一時の流行りでなく、もはや恒常的なもののようにも感じます。
90年代の地ビールブームとは違う…と思います。

ただ、じきの畑に関していうと自家醸造への切り替えは今のことろ考えていません。
少なくとも10年間は10Rワイナリーでブルースさんの下で研修&委託醸造予定です。

なぜか?

自家醸造への切り替えを急ぐことに価値を見い出せないからです。

この地で自家醸造(独り立ち)をするために大事だなと感じることは大きく2つあります(細かいことはたくさんありますけど)
①道内他ワイナリーでの下積み・研修を重ね技術・醸造期間中の蔵での動きを習得すること
⇒北海道産のヴィニフェラに触れながら醸造を学び、自分の手札を可能な限り多く用意することが大事
これについては、余市の葡萄を使ってワインを造る上で世界で最も良い試しの場になるのが10Rだと確信しています。
理由としては、醸造期間中に道内のいろいろな産地のヴィニフェラが60t~70t入荷するため、道内で栽培された葡萄に対してどのようなアプローチをかけたら結果として、どのようなワインが造れるのかという知見が得られるためです。
とにかく、サンプル数は膨大です。
10Rに通い始めて4年目ですが、色々な生産者の葡萄に接しながらそれぞれの葡萄に対して当事者意識を持って醸造を経験すると、得られる知見は自家醸造とは全く比べ物にならないです。
一時は時間ができる冬に南半球へ行ってみたいなと思うこともありましたが、毎年通うのは違うように思いました。
なぜなら今後の人生を余市で過ごし、余市の葡萄(北海道の葡萄)でワインを造るのに、ポテンシャルの異なる海外の葡萄でワインを造る勉強をすることに疑問を持ったからです。
知らなかった技術・知見を得られるのはあると思いますが、1,2年で良いと個人的には思いますし、毎年行くのは違うのかなという感じです。10Rには海外のワインメーカーも来ますので、話は色々できますしね。
自分たちのワインはこの地(北海道)の葡萄でしか造らないのですから、とにかく北海道の葡萄の知見を増やしたいと思うのは当然です。

②造り手目線でのワインテイスティング力
醸造を始めて特に感じることが、このテイスティング力が重要なのだということです。これがないと自家醸造は厳しいなと個人的には感じています。
これがないと困るのが作業のタイミングの問題です。
野生酵母を使っての醸造で非常に重要だと感じるのは次の作業へ移行する、或いは危うい状況を察知して処置を施すタイミングだと思っています。
例えば、培養酵母のように毎回キッチリと糖を食いきるということが、野生酵母でやるとキッチリしないことがあります(野生酵母の場合、多くの場面でビシッと線引きされていないイメージです)
そのような時の判断として、その時のワインの状況をテイスティングし次段階へ移行してよいかどうかを見極めるのが大事です。
これは葡萄が蔵に入荷してから瓶詰までずーーーーっと続きます。
これに関しては、ワインを飲むことで経験値を増やし、自身の中に色調・香・味の引き出しを沢山蓄えることが大事だと思います。テイスティング能力は、ある意味で自分の目指すワインへ近づけるために必要なツールだと確信しています。

それと10Rでやることでメリットに感じることは、委託醸造分で試してみたいことを実践でき、危ういところはブルースさんからアドバイスをもらえるというところです。つまり、危ない方向へ進んでいて本人が気づいていなくても救ってくれる。言うなれば、足を踏み外しづらいのです。
試したいことは色々ありますが、振り切れたワインには決してしたくないと考えているので、この環境は非常に有り難いです。

あ、そうそう。
委託醸造分だと経営的に厳しいのではないかというのがあると思います。
これに関しては6,000本規模で委託が出来れば全く問題ありません。
じきの畑は将来10,000本~15,000本規模を目指しているので、更に増えれば経営的な安定度も増します。

うだうだ書いてきましたが、とにかく今は自分の手札を増やしたい一心です。
ラブルスカでもリンゴでもなく、ヴィニフェラで自分の目指すスタイルのワインを造りたい。
1年目で感じた焦りより、今は更に習得しなければならないことが山積しているように感じます。
とにかく1か月後には仕込みが開始されます。

気を引き締めて臨みたいと思っています。

オーガニック(有機)の葡萄から出来たワインは慣行の葡萄から出来たワインより美味しいのか?

認証を取る前からずーーーっと考えていて、個人的に難しいなといつも思うのが掲題の件。

「じきの畑」が有機を実践しているのは、「有機の葡萄から造ったワインは慣行の葡萄から造ったワインより美味しいと思うから」ではありません。
もちろんマーケティングのためでもありません。

有機を実践し、認証を全圃場で取得しているのは、オーガニックというものが「じきの畑」の生活スタイル(生き方)だからです。
そもそもで農業を始めたのは、後世に繋げられる持続可能な営みをこの現代社会でより実践的に送るための手段(職業)は何か?と考えたためでした。
自然の中に身を置き、天地(あめつち)からの恵みを一番ダイレクトに享受できる仕事とは何か?
出た職業はお天道さんの下で営む農業でした。
極端なことを言えばあらゆる農業は自然破壊だと思います。
ただ、その中でも可能な限り自然と共生し、環境への負荷を考えた場合、田舎での有機農業という選択が残ったのです。
(※自然農は有機農業に包含されると考えていますので、敢えて自然農とは記載しません)
私たちにとって農業は生活スタイル(生き方)の実現のためのものであり、目的ではなく手段と考えています。
ワインは物凄く好きで愛していますが、これを造っているのも生活スタイルを実現する上での手段と考えています(私にとってもっと根本の理由もありますが今回は割愛します)

それで掲題の件です。

今のところ出ている答えは有機も慣行も造りが同じ場合(選果のレベルなど合わせた場合)、出来上がったワインに大きな違いはないのでは?と感じています。
もし違うという方がいれば、是非ブラインドで当ててみてほしいものです。
慣行で育てた葡萄を低So2で、丁寧に造ったものであれば当てることは至難の業だと思います。
(有機の野菜や果物だと時間が経つにつれ、腐敗するのではなく、萎凋するというのはありますけどね…)
ただし、特定の化学農薬を収穫直前に撒くとワインへ玉ねぎ臭を着けてしまったりもするので、色々分かった上での慣行農法で作られた葡萄を使ったと仮定してです。
慣行と有機の葡萄を比較するためHPLC等使って成分分析して、ワインへの影響が導き出せれば面白いだろうなぁとは思います…。

「有機で作った葡萄で造られたワイン」という情報を聞いた上でワインを飲んだ時は違いが感じられる可能性があると思いますが、今のところ私は、ワインは造られたバックグランドや生産者情報等が1つのエッセンスとなり、その影響からある意味で頭で飲むもの(ある程度の食材は頭で食べたり、呑むもの)なのだと考えています。
ただ、いくら興味を惹かれ、素晴らしい情報があるワインでもロクなものでなければ、その土俵にすら上がれないのは当然ではあると思います。
以前は、慣行以上に手間暇がかかっている有機の野菜には作っている人の強い想いが込められているので味が変わるのかな?とも考えたりしましたが、ことワインについては慣行でやっていても本当に丁寧に、真摯に葡萄に向き合っている方々がいます。
その姿を見ると葡萄栽培に対する姿勢は有機だろうが慣行だろうがそこまで大きく変わらないように思います。個人の見解なので鋭い方は分かるのかも??

というわけで現段階で違いはそこまでないのかな?というのが私の答えになっています。
自分の中では事前情報無しに飲んでみて美味しいワインが、調べてみたら有機だったってのが理想なんですけどね 笑
ナチュールの造り手は総じてオーガニックであることが多く、サンスフルもしくは極低so2なので、そういうところに収束はしていくんだと思います。
ということで、万人受けするものは造れないと思いますが、特定の人に刺さるワインを造っていけたらと思います。

田舎での暮らし(畑の近況と此方での生活と)

ここ1週間ほど雨が多く、太陽の出ている時間が非常に限られたものとなっています。




ブドウはちょうど今が開花期なのですが、受粉はしても温度が低いことによる花粉管の伸びへの悪影響があり、しっかり受精することが出来ず、着果に至らないケースが出てきそうです。
雨に関しては灰色カビ病がありますが、それは今のところ皆無なのでやはり温度の低下が心配です。
この状況、どうにか回避してくれればと願うばかりです。

ところで4月で余市に来て丸5年が経過し、6年目に突入しました。
此方にきて、生活環境がそれまでの30年間とは全くの別物となりました。
田舎とはいえ光も来ている地域が多く、zoomなども問題なく使えるので本州との時間距離はほぼ感じないです(我が家はADSLなので安定しませんが 笑)
ネットが繋がれば何時でも何処でも世界中の情報に触れることができる。
家族とも友人とも何時でも繋がれる。
リアルに会うのは年に数回で良い。
となると、自分が今後人生を送るうえで都会で生活することのメリットを見いだせないな、と改めて感じています。
特に今回のコロナ騒動を通し、その想いは確固たるものとなりました。
我が家はテレビがないので、垂れ流されるコロナ騒動の情報の波に巻き込まれることもなく平和に過ごせています。

余市へ来て6年目。
この数字は、ある意味で自分の身体がこの地域と同化できるという想いに繋がっています。
人間の身体は約6年周期で全ての細胞が入れ替わると言われています(年齢によりスパンは異なりますが)
此方に来てからの食生活は都会で暮らしていたときとは比べ物にならないほど私にとって充実したものとなっています。
地域で育てている鶏・山野で捕らえた鹿を魚と同様に捌き、渓魚を釣り、山菜・茸を狩り、羊を食うために飼養し、畑では自家消費用の野菜を育て、果樹を育て、生業としてワインを栽培から醸造まで行い、呑む。
あらゆる食に絡むことの始まりから終わりまでがこの地域内で完結するのです。
6年前からこのスタイルで生活をしてきたということは私の身体は北海道仕様、いや、北後志仕様とでもいうべきかと思います。
ちょっと変わった考えかもしれませんが、本当の意味でようやくこの土地の人間になれたような気がするのです。

その昔、中学校で質量保存の法則を習い、あらゆる物質は化学反応の前後で総質量が変わらないと学びました。
であれば、あらゆる原子はこの星で循環し、巡り巡るっているのでは?という考えがその時に湧いてきたのです。
後から分かったことですが、このことは質量保存の法則ではなく、量子力学の観点から考察すると強ち間違った考えではなかったようです。
つまり、今私や貴方の身体を構成している原子は地球創世の時からあらゆるものに姿を変え、巡り巡って私達を作り出しているということになります。
もしかしたら今タイピングをしているこの指を構成している原子は北京原人の足を構成していた原子だったかもしれないし、今画面を見ている眼球を構成している原子はジュラ紀のシダ植物を構成していた原子かもしれません。
そう考えると、あらゆるものに自分がなる可能性がありますし、また、あらゆるものが自らを構成する可能性だってあるように思えてきたのです。人類みな兄弟、いや、地球上に存在する(存在していた)ものすべてが繋がっているのだと思ったのです。
そんなことを考えていると、今、世界で起こっている人種差別や紛争は思想や宗教観など多数の要因の上に出てきている問題ではありますが、何を争う必要があるのか?と思ってしまう自分がいます。




少し話が逸れました。
そこで改めて思ったのが生きるという営みは、その地域内での物質の循環なのでは?ということです。
その地域で生きるということは、その地域で循環している原子が自らを構成する1パーツになるというのが大昔から続いてきたことではないのでしょうか?
世界中が繋がり、良くも悪くも物質が行きかうようになったのはここ数100年くらいです。需要に応じ、世界中の食物を取り寄せ、供給することが良くないとは全く思いません。ただ、貴方を構成する皮膚は南米産で髪の毛は北米産、腸はオーストラリア…と考えるとなんかしっくりこないのです。広い意味で地球産と言えば何とでもなりますが。
その時に思ったのが身体を作り上げる根本、「食」について深く考え、行動したいという想いでした。自らが地域を循環する物質の1つになり、生きてみたいと思ったのです。
その生活を実践できている現在、身体が無理なく自然と楽に生きていられている(生命活動をしている)とすら思えてしまいます。

田舎へ来てよかった。北海道へ来てよかった。
改めてそう思う日々です。

この話を学生時代、友人に熱っぽく語ったらやっぱりきんちゃんは変わってるねって言われたことを思い出しました 笑
何だかなつかしくなりました。

展葉の開始と行者にんにく

2020年シーズンが始まり、1月とちょっと。

畑は一面銀世界から芽吹きの季節へとだいぶ様変わりしました。
ここ数日の温かさで、品種によっては展葉が始まってます。

いよいよカメシーズン到来です!





今シーズンは新しい畑の造成はなく、補植が100本少しだけでした。
作業も5月は少し余裕あるので、普段手の回らないことや羊の世話をしています。

その羊ですが、本日毛刈りをしました。
出た羊毛は上さんが処理して手芸品を作るそうです。
毛刈り終わりの羊は寒そうでした…。

あと、山菜シーズンが始まってから日々の食卓が春の恵みにあふれています。
私は、以前はハリギリやタラの芽、山ウドが好物でしたが、今では専ら行者ニンニクです。
山に行けばうなるほど生えています。
先日気分転換で行った山で45Lゴミ袋2つの収穫がありました。

急斜面に生える行者ニンニクです。


こちらはアズキ菜です。




シーズン少し逃してしまい、かなり葉っぱが大きくなってしまいましたが…。
これを細かく刻んで、ごま油と醤油、卵を混ぜてご飯にかけると最高においしいのです。

新たな家族

本日、『じき』に新しい仲間が加わりました!
生後2ヶ月の赤毛アイヌ犬(♀)です。
田舎暮らしになってから、いつかは犬を飼いたいと思っていました。
今回、友人家族のご厚意により実現しました。

雪解けする前に鹿追いしてこようと思います。
春には鹿を追っ払ってくれるよう躾をします!

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2020年ブドウ輸入苗の通関を個人で切ってきました

2020.1.27に新千歳空港でイタリアから来たグリューナー・フェルトリーナの新しいクローンの通関を切ってきました。
朝6時前に余市を出発して、帰宅は20時過ぎでした…。

ウチでは過去2回、アメリカとイタリアから輸入苗を入れていますが、両方とも通関は代理店にお願いしていました。
今回、個人でやってみようかなと思ったのは、

1、金銭面:過去2回とも通関を代理店依頼したが、6万円強の委託料が発生したこと
2、経験面:2年前にアメリカから薪割り機を個人輸入したとき、苫小牧で通関を切る作業を行ったが、特に面倒なことがなかったこと
3、精神面:最初から最後まで自分でやってみたいこと

の3つでした。

とりあえず通関を切る作業は時系列に次の通り。

①輸入した貨物会社(今回はルフトハンザカーゴ→ANAカーゴ)からPL原本の受け取り
②新千歳税関で植物の見本採取票の受け取り
③保税地域(SIACT)で見本採取票を提示して、ブドウ苗を一時引き取り
④植物防疫所に移動してブドウ苗の検査&45℃20分で温湯浸漬してフィロキセラ殺虫
⑤ブドウの合格が出たら新千歳税関で輸入許可の申請
⑥SIACTに戻ったブドウ苗を税関職員と一緒に現場検査(これはイレギュラ)
⑦新千歳税関に戻り、消費税等の支払い
⑧SIACTに戻り保税地域のサービス料(冷蔵庫保管代とか)支払い
⑨最後にブドウ苗の受け取り
⑩植物防疫所へブドウ苗を搬入

あ、①の前に植物防疫所札幌支所、SIACT、ANAカーゴ、植物防疫所羽田出張所、植物防疫所新千歳空港出張所等々事前に電話して、予約やら情報提出しておく必要があります!




①今回はイタリアからルフトハンザ航空で羽田空港着。そこからANAカーゴへ積み替えられ、新千歳着となりました。
ANAカーゴの倉庫は空港から車で5分ほどのところにあり、守衛さんに話をして問題なく受け取り出来ました。

②その後、新千歳空港の植物防疫所まで行き(結構距離あり)、見本採取票を受け取ります。
これがないと、苗の検査と殺虫処理が出来ません。
通関は切りませんけど、検査するので貸してくださいな~というのを申請するものです。
SIACT(保税地域)で検査と殺虫が出来ればいいんですけどね…。

③初SIACT。ここは保税地域と言い、通関を切る前のモノが一時的に保管されている場所です。
税関からは1.3kmほど。
車での往復も意外と手間。。
ここは日本だけれども日本でない扱いの場所?のようなところです。
この施設内の冷蔵庫に1/25に着いた苗を保管してもらってました。

そして、こちらの施設で植物防疫所の方と一緒に苗と初対面です。

前回同様、緑色の蝋にコーティングされた接ぎ苗です。
根が相当に短く切断されていますが、問題はありません。
更には根の部分が若干カビいてましたが、取り合えず問題はありません。
特にダメージもなく、土の付着も問題ないということで植物防疫所へ持ち帰り、検査&殺虫処理を行うことになりました。
ここからが非常に時間のかかる作業でした。




④植物防疫所にて検査と殺虫作業です。
湯に漬ける前に3時間ほど水に漬けないと苗へのダメージが起こりうるため、事前準備として苗を水に沈める作業があります。
先ずは水の中に苗を入れ、2時間~3時間待ちます。


この時点で14時過ぎでした。

次に大きなシンクに45℃のお湯をはり、苗木を沈めて20分待ちます。これでフィロキセラが着いていたとしても死んでしまいます。

お湯から上げた後は今度は苗を冷やすため、再度水の中に漬けこみ、30~40分ほど待ちます。

⑤苗の合格が出た後に植物輸入認可証明書は発行されるので、税関へ赴き、輸入したモノについてPCからの入力を行います。
これは薪割り機輸入の時と同じでしたが、やはり慣れない…。
この時点で15:30くらい。いやー、時間かかります。

⑥税関でPC入力していると、なんと現場での検査が必要とのこと。
何でもこれはランダムで発生することらしく、特に初めての輸入者ではよくあるらしいのです。
更に作業が一つ増えてしまいました 笑
SIACTに行き、税関の職員さんと苗木梱包を解き、中身を確認。
問題なしと認められ、再度税関へ。

⑦実は今回家に財布を忘れてしまい、持っていたのは免許証だけ…。最初はどうなることかと思いましたが、税関ではペイジーが使えるとのこと。
直ぐに消費税と地方消費税を支払い、輸入許可通知書を発行してもらいました。

この時点で16:40くらい。財布がないため、SIACTへの支払いもスマホからの振り込みを予定していましたが、SIACTは北洋銀行の口座らしく、反映が17:30までに出来なければ引き渡しは出来ないと伝えられていました。
ピンチ!!
翌日、余市から再び来るのは嫌だよ~………




⑧⑨急いでSIACTへ行き、輸入許可通知書を提出して振り込みました。サービス料の支払いです。
しかし、すぐには確認できないとのこと。車で待つこと15分。確認が取れました!と連絡が…。
助かった。
これにてようやく手元にブドウの苗が来ました。

⑩新千歳から羊ヶ丘の植物防疫所へ急いで向かい18:00過ぎに到着。
前回までの2回は、自分で植え付けを行っていましたが、今回は時間がないことと疲れていたのとで、職員の方に丸投げしてきてしまいました。
今頃は水に漬けてもらっているはずです。
明後日あたり、鉢に植えつけてもらう予定です。

最終的に自宅に戻ったのは20時を回っていたと思います。
疲れました。
走行距離は270kmほど。
距離はあまりないのですが、ずっと下道だったのが堪えたのかもしれません。

では、今回かかったお金について。
余市⇔新千歳のガソリン代:3000円(下道使用)
消費税、地方消費税:9,700円
保税地域サービス料:4,286円
計:16,986円
ちなみに免許証ケースの中にあったのは300円。
お昼はまともに食べられませんでした…。

こうやってみると丸1日かかりましたが、代行業者へ依頼するのと比べ約4万円くらい浮いたことが分かりました。
自分も勉強になったし、これからも海外から色々個人輸入もすると思うので、この差額を得られた上にこの経験が得られたのは非常に良かったです。
でも、なにより苗代が恐ろしく高い。たぶん今後苗の輸入はしないかなと思ってます。
日本にある品種、クローンで十分です。
てか、グリューナが余市に適正あるかもまだ分からんのです 爆

またよろしくお願いします!

2020年のスタート

みなさま

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

2020年スタートしましたね。余市は昨晩からの降雪でいい感じに雪が積もり始めました。このまま適度に積もってくれれば。。
昨年末(1週間くらい前)から息子が発熱してしまい、家内の実家への帰省を断念しました。
その後、家内へ飛び火してしまい年末年始(というか今も)は2人とも床に臥せています。しばらくは安静という感じです。私もいつ罹るのか不安です…。




さて、2019年は自園で初めてワインブドウを収穫、そして委託醸造をすることが出来ました。そして2020年はこの畑が3年目を迎えます。前回も記載しましたが、ある意味で初めて成績表を受け取る感じになります。この2年間やってきたことを信じ、今シーズン中やろうと計画していることを着実に進められればと考えています。

栽培に関しては2月に圃場の有機認証取得、新たな輸入苗の対応、3年目の収穫
醸造に関しては暫く10Rで勉強&委託醸造を継続




今年もやること盛盛盛沢山です。
冬はこれから。春に華が開くよう、体力・知識両面で地力を蓄えようと思います。




そう、今は蕾でいたい。
先走りたくないし、流されたくない。
食い気味になって世間に出たいとも考えていない。
開いても恥ずかしくないくらいになれるまで蕾のままでいい。
2020年も地道に頑張っていきます。

2019醸造シーズンスタート間近

今シーズンのワイン醸造が今月下旬から10Rワイナリーで始まります。
3シーズン目の研修。

あ、今シーズンからは持ち込みブドウがあります!
1つは管理させていただいている畑のツヴァイ500kg。もう1つは自社の10kg…笑。
なので完全な研修は昨年までということになります。

10Rの居心地がとてもいいので委託醸造を3シーズンしてから自家醸造へ切り替えと今のところ考えていますが、もしかしたらもう1年くらい延ばすかもしれません。
10Rという場所で1年ぶりに会える人たちを思い浮かべると、今から非常に楽しみです。
3シーズン目というのは色々な意味で節目と感じています。気を抜かないよう頑張ります。
今シーズンの目標は心に余裕を持ちながらの「作業の俯瞰と予測」です。

ということで1月半くらいは住居が岩見沢となります。

アメリカからの薪割り機輸入方法 その5

6月から色々と動いていた薪割り機が9/20にようやくわが家へやって来ました。

引き取り日当日、まずは苫小牧フェリーターミナル近くなる函館税関苫小牧支所へ。そこで輸入に関する手続きを行い、輸入許可通知書を発行してもらいます。そして、一路苫小牧東港へ。
ちなみに函館税関は北東北(秋田や青森、岩手)から北海道全域をカバーする税関とのこと。東北までカバーしてるとは知らなんだ。

こちらが苫小牧東港。そして乙仲の入るビルとコンテナヤード。

バナナ会社時代に東洋川崎や上組東京を見ていたので、大きさには驚きませんでした。
ちなみに中国や韓国などからの貨物が多いようでした。
今回利用した乙仲は北旺CFSという会社。そちらに船会社から発行されたD/Oを渡し、倉庫から薪割り機を搬出してもらって軽トラの荷台へ。長さぴったりな感じです。

その後、再度税関へ戻り、今度は荷物の中身を確認するため車ごとX線の検査施設へ入れます。

この検査自体は5分程度で終了し、その後税関に今回の関税9,300円を支払いました。
これで晴れて薪割り機が余市へ持ってこられることとなりました。長かった…。

家に着き開封。

組み立てはyoutubeにて公開されているので非常に簡単。ただし、パーツパーツが結構な重たさなので腰が痛くなってしまいました。

完成したところで早速薪割りを。
10tくらいの薪割り機では歯が立たなかった太いイタヤカエデやミズナラ、節の多いサクランボもノンストレスでパカパカ割れていきます。

今後、何年持つか分かりませんが少々めんどくさいことをしながらも個人輸入したので大事にしていこうと思いました。

これで薪割りが楽になる~!

アメリカからの薪割り機輸入方法 その4

さて、タコマ港を出港した薪割り機は一路、釜山港へ。

アメリカから日本へ直接入港する船はあるものの、神戸や川崎などにしかなく、希望の苫小牧港は釜山経由でしかないとのこと。。
本州の港へ入港して通関、国内配送を依頼すれば、とも思いましたが代理通関を依頼して国内配送するだけで10万円を軽く超えてしまうことが分かり断念しました。
結果、苫小牧へ入港させ、自分で通関をしようとなりました。

あ、書き忘れましたが米国出向と同時に船会社からBLという貨物の詳細が書かれた書面が届きます。
これとコマーシャルインボイス(こちらも船会社から)が通関で必要になるものです。

そこからが長かったのですが、9/3に苫小牧着予定なので9/1には釜山を出港しなければなりません。
実は後で知ったのですが、釜山港は本当に規模が大きく荷物の積み替えに非常に時間がかかるようです。

結局日本へ入港すると分かったのは9/15で、9/12釜山出港⇒9/16苫小牧着とのこと。
明日じゃないか!じゃあ即取りに行こうと乙仲と苫小牧税関に確認したところ何か変。
乙仲からはD/Oがないため出庫できいないとのこと。
D/Oとは乙仲に荷物を出してOKですよと船会社から発行されるものです。

はて?お金は輸入代行業者に支払っているのに・・?

実は輸出から釜山での積み替え⇒日本の流れまでの支払いは終わっていたのですが、苫小牧港の使用料、倉庫保管料並びにハンドリング料が支払われていなかったとのこと。。
この料金はA/Nに記載されていました。

ここまででかかった金額ですが、

・タコマ港⇒釜山での積み替え⇒苫小牧港の運賃:78,927円
・苫小牧港の港湾使用料:20,472円
・米国での支払い代行の費用:136,862円(前回記載)
・関税:9,300円(その5で記載)

合計245,561円

となりました。

日本でyardmaxの25ton並みを購入するとこの倍くらいにはなると思います。
薪割り機自体の機構はエンジン以外は圧力を上げる油圧がダメにならない限り問題ありません。
壊れづらいのもありますが、壊れても地元の技術屋さんで十分修復可能かと思います。
もし、ダメであっても米国から部品輸入は可能なので問題ないと思ってます。
また、問題はエンジンですが、中国産OEMを避けたのはここです。
名の通ったエンジンメーカーは確かに高いですが、それ相応の耐久性があると思っています。

次回苫小牧への引き取り模様と使用感について書きたいと思います。