2020vt白の瓶詰前滓引き

本日10Rにて2020vtの白ワイン(環)の瓶詰前滓引きを行ってきました。
2020vtはシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノブラン、グリューナーの混醸です(将来的には単一での醸造を目指しています)
量は非常に少なく、430本ほどになる見込みです。ステンレスバレル280ℓ以外に小仕込みのものが複数あったのですが、同じマストから出来たワインのはずなのに容器が異なると、こんなにも趣が違うものが出来るのだなと改めて思いました。特に一番小さい仕込みをしたものが非常に好感の持てるワイン、可能であれば目指したいスタイル(バン、リフォーに憧れてます)に近いものでした。

ステンタンクにまとめたワインには亜硫酸を極々少量(10ppm)添加しました。じきの白のスタイルを見据え、サンスフルも考えましたが、2020vtについては10ppm添加にしました。来年3月以降に飲んでみて2021vt以降の参考にしたいと思います。
瓶詰後どのようなスタイルになるのか、今日の段階である程度予測は出来ますが、楽しみに待ちたいと思います。
リリースは来年3月なので、詰めた後半年ちょっと蔵で寝ててもらいたいと思いますZzz…

ツヴァイ、グリューナーはやはりこの地に合っている

そろそろ花が咲きそうな雰囲気になってきました。
灰カビ注意報が発令されそうな天気が今月末にかけて続きますね…。

日々、除葉と芽欠きをしていますが、花穂はどれも綺麗で順調です。
一方で、結果枝に花穂が着いていない個体が目につき始めました。

じきの畑の仕立てはギヨなので、コルドンより花穂が着きやすいはずなのですが、品種によって花穂の付き具合が異なるようです。
実感としては、
ツヴァイ≧グリューナー>ソーヴィニヨン・ブラン≧シャルドネ>>ピノ・ブラン
です。

ピノブランの結果枝に花穂が着いていない…。
おそらく根がまだしっかり張り切っていなく、養分が吸いきれていないのか?
ただ、植えたタイミングはどれも同じ。植えられた土壌条件、斜面の向き、斜度どれをとってもそこまで大差がないんですがね。
収穫後の礼肥を考えないとダメかもですね。今あげてしまうと逆に徒長してしまうので、ここは我慢です。
一方でツヴァイやグリューナーは自分で言うのもなんですが、素晴らしいです。
結果枝に花穂が着いていないものが無いくらいです。

ツマグロアオカスミカメとの闘い 現段階での結果

2021/6/4現在、じきの畑のツマグロアオカスミカメによる食害は殆どありません。
有機JASに則った管理でここまで持ってこられています。
赤・白品種関係なく、昨年まで非常に被害の大きかったピノブランにもカスミカメ被害は非常に少ないです。
花穂が食われている株はほぼ無いです。
というか現在芽欠き作業をしている最中なのですが、畑でカスミカメをあまり見ることがありません。
過去3年間と比べると、畑の様子が明らかに違い、葡萄の葉っぱや花穂って綺麗だな~と毎日の作業が楽しくなっています。
収量も一気に伸びてほしいところ。

過去3年間で散々いろいろなことを試しましたが、どれも失敗。甚大な被害が発生し、悔しい思いをしてきました。
小さい段階で被害を受けた個体は生長に支障が出てしまい、育生に年単位での遅れが生じます。
今シーズン4年目の畑は樹間が1.2mと短いため、過去カスミカメ被害があった個体でもフルーツワイヤーには乗っていますが、被害が無かったら万度収穫出来ていたのではないかと思うと残念でなりません。

今シーズンはやり方、特に作業を行うタイミングなど過去3年間と変更して行いました。それと葡萄の木だけを見るのではなく、畑全体を観察しました。
カスミカメにとって何が効果があるのかは採取した個体で実験済みだったので使う資材はある程度絞れていました。
今思うと残るはやり方だけだったんだと思います。

今後、有機栽培での防除・被害抑制方法として確立していけるよう来年以降もブラッシュアップしていきます。

この後第2世代が発生してくると思いますが、花穂がやられなかったので穂先が食われてもそこまで気にしていません。少々枝や実の登熟に影響があるくらいでしょうか?
とにかく第1世代から葡萄を守りきったことは非常に大きな成果でした!

ツマグロアオカスミカメとの闘い

北海道の葡萄農家にとって最も厄介な害虫がツマグロアオカスミカメという半翅目の虫です。
生態については年に3世代ほどが圃場内で繰り返し生まれていますが、どのような形で越冬し、圃場の何処からやってくるのか等、分からないことが多い虫です。
第1世代はちょうど今頃。葡萄の芽が吹く時期に何処からともなく現れます。
そして、この第一世代が花穂や葉の成長点(茎頂部)を吸液するため、葡萄の花や葉が出てくる前に傷害を受けてしまうのです。
当然ダメージを受けた葉は光合成を正常に行えません。成長点が傷害を受けると見た目、展葉段階で4葉くらいがシワ枯れたような葉っぱになってしまいます。
また、吸液された花穂はボロボロになってしまい、その年に実を着けるとが出来なくなってしまいます。
第2世代、第3世代になると葡萄の新梢もだいぶ大きくなるため、吸液されてもほぼ影響がないので(花穂が吸われて無くならなければ切り抜けられたということです)、この第1世代の対応に苦慮しています。
慣行農法だと化学農薬(有機リン、ネオニコ、ピレスロイド等々)で全く問題とならない虫なのですが、有機でやるとなると一番の障壁となっています。

カスミカメの対して今のところ自分の中で分かっていることは、
1、白品種の方が赤品種より被害が大きい
2、コルドンの方がギヨより被害が大きい。おそらくですが、萌芽から展葉にかけての伸長がギヨの方が早く進むため成長点を吸液される前に伸びきってしまうのではないかと思います。
3、有機で使用できる殺虫剤として一部の半翅目(コナジラミ等)に効果があるミルベメクチン系の農薬はほぼ効果が出ない
4、気門封鎖を目的に展葉期にマシン油乳剤を使用すると薬害が酷く発生(オレート液剤は有機では使用不可なので不明)
5、慣行で防除していたとしても毎年防除しないと被害が発生(圃場外からやってくる?)
6、慣行の場合に化学農薬で第1世代をたたいても第2世代、第3世代は発生している。影響が出ないのは新梢が大きくなっているため。また他の害虫防除の薬が意図しない状態で効いている
7、茶でもツマグロアオカスミカメの被害はあるが、有機認証を取得している農家が多い
8、山桜が咲き終わる時期に硫黄合剤を散布すると忌避効果があるという話はある
9、主枝の皮に産卵して越冬するという話もあるが、茶の文献を読む限り一番怪しい産卵場所は芽欠きを行った結果母枝の陥没個所、そして主枝の皮下。また、土中で卵として越冬するタイプもいる模様。茶の場合は剪定した切り口に産卵するタイプもいるようだが、北海道では剪定シーズンにはカメが寒すぎていないと考える
10、ヨモギやギシギシ、イネ科植物が好きでそれらがないと葡萄樹へ上がり食害にを起こす。慣行農法で行う場合は、萌芽から割れて展葉を始めるタイミングに草刈りを行い、カメが葡萄樹へやってきたところを化学農薬で叩くというスタイルを取る場合が多い。意識的にカスミカメ防除を目的にして草刈りはしていないと思うが、春先からの雑草の伸長がちょうどカメ時期の前の草刈りに当たる。これが一番効果が上がる方法だと思われる。逆に言うと雑草をあえて刈らなければ、カスミカメはわざわざ葡萄の木に登ってまで茎頂部分を吸汁する必要はなく、葡萄の木より背丈の低い雑草に登る可能性は十分にある。結果母枝、主枝に産み付けられたカスミカメの場合だと避けることは難しいかもしれないが。じきの畑での草刈は通路で年1回、株下で年2回だけ。

就農してからカスミカメを毎年捕獲し、ラボスケールで有機で承認されている農薬や効果がありそうな物質を使って実験をしているのですが、中々虫籠と圃場では条件が異なるようです。
一昨年から始めたミルベメクチンの実験は当たれば弱ったり、死ぬ個体もあるのですが、圃場での散布となると昨年はほぼ効果はありませんでした(結構被害が出ました)
背負い動噴でキッチリ散布したので、かけ漏れはないと思います。ミルベメクチンは救世主になるかもと期待していましたが、今のことろ残念な感じです。

あとはボーペリアバシアーナという冬虫夏草(セミの幼虫から生える茸の菌糸)を作る菌がもしかしたらという期待もありますが、こちらも中々条件が難しく使用出来ない状況です。
この菌は多湿が大好きなので梅雨時期、つまりカスミカメが活発になる時期にはある意味で適合しているように思います。
後は、同じカスミカメでも益虫としてトマト栽培で使用されているタバコカスミカメの実験が色んな研究機関で行われており、タバコカスミカメを飼っているハウス内で使用OK、NG農薬の一覧(研究機関によって結果が少し違うのが面白いです)が出ているので、そういう情報はしっかり確認して実験を進めていっています。
今年も新しい方法を思案していて、現在進行形で畑で試しています。
過去、薬害発生や防除失敗で痛い目しか見てきていませんが……笑
自分の身を切って試したことは絶対に自分の知識の蓄えになると思うので今後も続けます。

あとは、7の認証取得をしている茶農家の有機的管理下の防除暦は参考になると思っています。

それにしても、やはりカスミカメの影響を0にすることは無理だと思うので、樹勢コントロール(強ければ少し吸われたくらいでは問題ないため)などでどうにか凌がなくてはならないなと考えています。

自分色のワイン

2019をリリースして思った事。

自分色のワインってどんなんだろう??
イソアミル臭のワイン 笑????
(※私は以前バナナの会社にいました)

好きなワインは白ならドゥノジャン、バン、リフォー、ニコライフォフ、アンブロッチ。赤ならヴァロ、ラタポワル、エオレ、フォワイヤールなんか。他にもいろいろあるけども、傾向とかバラバラだなーと思う。

でも、こういう好きなワインへ近づける造りをすることが余市でワインを造ることに繋がるのか?
そんなんならいっそフランスでやれば?と自分自身に問うてしまう。
憧れは憧れにして、実際は自分のところで収穫できた葡萄で可能な限り削らない造りを行う。

憧れているワインからそのエッセンスをほんの少し加味していくことは自分色を出すことに近づくことなんだろうとは思う。ただ、これらのワインを模倣したり、可能な限り近づけようとする醸造ってのは違う気がする。

そんなわけで、自分色のワインはどのようなスタイルになるのか、2021の造りをどのようにするのか日々考えています。
灰カビも恐れず利用できればと思います。

2019vtの蝋付け、ラベル貼り完了しました!!

余市へ来て3月で7年目。
10Rへ通って丸4年。

ようやく本日蝋付けとラベル貼りと行い、一つの区切りである初ヴィンテージワインが完成しました。


ラベルは砂川の空のアトリエさんへ依頼し、秋の畑での夕暮れ(黄昏時)をイメージしてもらいました。
大変気に入っています!
今回は250本だけの生産。
イベントや飲食店での提供をメインに一人でも多くの方に飲んでいただければと思っています…。




酒販免許が下りました

先ほど税務署から連絡があり、1月下旬に申請を出していた一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許の許可が下りました。
キッチリ2か月かかると伝えられていたので、大丈夫かな??と思っていましたが予想より2週間以上早くOKになりました!

これで2019vtワインも蝋付けとラベル貼りが終われば出荷を待つばかりです。
楽しみです~!

2019vt瓶詰完了しました

先日10Rにて2019vtの赤(ツヴァイゲルト)の瓶詰を終えました。
1樽分だけだったので300本というキリの良い数字。
ワインについての説明は新たに作成しているHPに掲載予定なのでここでは詳細を省略します。
色合いは淡いルビーくらい。ツヴァイの赤の割に優しい色合いです。
公にはリリースできる数ではないのでイベント時や飲食店さんを中心に出していこうかなと考えています。
安定的に数を出せるのはおそらく2021vt~と思っています。

グリューナーの新しいクローンが来ます

イタリアから輸入したグリューナー・フェルトリーナの新しいクローンが検査に合格し、来春から畑に入ることが決まりました。
それにしてもピノグリウイルスが酷い…

1本あたりの値段は怖くて計算したくありませんね。
それ以外の労力(色々お手伝いしていただいたものとか含め)考えると、ここまで思い入れないとやってられないです。
グリューナ熱は生半可ではありません。じきの畑にあるグリューナのクローン数はこれで5つ。
日本では一番多いと思います。
長かったです。合法的に色んな地域から輸入し、隔離圃場へ出し、、、ここに来るまで6年間かかりました。
今後これらの適不適を見極めながら増やします。
昨年の収穫(ドイツ系クローン、クロスターノイブルク系クローン)の感じだと個人的には相当に期待しています。
収量・病気への耐性、味、風味どれをとってもいいのでは?と思います。

大好きなニコライホーフ、ヒルシュのGV。
憧れだけに留まらないようやっていきます!