2020年ヴィンテージの仕込みが無事終わりました

今年はピノの収量がグンと伸び、仕込み時期が9月末から11月一杯と4年間で最も長いシーズン。
ピリッとした雰囲気は過去3年より強めだったけど、居心地は良かった。

学びも多かったし、試してみたいことも増えた。知識も作業スキルも伸びたと思う。
ただ、まだまだなのも改めてよく分かった。これからも頑張っていきたい。
取り敢えず今は冬支度と剪定を終わらせないとと焦りつつ日々を過ごしている。もう余市は根雪かもな…

今回仕込んだ白も赤も順調にbrixが下がり、赤は先日樽へ移動した。
この子たちが日の目を見るのは早くても10か月以上先だが、今から楽しみである。

2019Vtの赤は来月瓶詰めし、3月リリースを目指している。

今回は数が圧倒的に少なく(ブルゴーニュ樽1つだけ)なので卸への販売はないが、今後収量を伸ばしていければ卸の免許も取れればと考えている。

日々考えるお客さんへの情報の透明性と伝達方法

モノづくりをする人間として、それを購入・消費してくれる方たちに真摯に向き合うことは非常に重要なことと思います。

翻って、その方たちがミスリードする可能性のある宣伝文句を謳うことは絶対にしないと決めています。

耳障りの良い文言。「これから~をやります」的なことがメディアに取り上げられると一般の方はすでにそのお店がそれを始めていると自身の中で換言し、記憶が上書きされるイメージがあります。
それを言うのであれば、最低でも期間・期限を併せて「~までにやる」と伝えては?と思います。
私自身、一般の方から過去に事実と異なることを「●●農園って~なんですよね?」と聞かれ、「まぁ、そうなんではないですか」と返答としたことが何度かあります。
ミスリードすることはお客さんの責任で、自分たちは関係ない。
そんなイメージが世間一般にあまりにも多い気がします。
特に食品関係。
同業者は気づいていてもお客さんは気づいていない。
上っ面の耳障りの良い宣伝。現実はそれとは異なる事実。
お客さんは気にしていない(最初から最後まで知らなければ特に問題はないのか…)レベルなのかもしれませんが、私にはミスリードを誘うような中途半端な文言を使うことに違和感しかありません。
旅行雑誌の食べ物特集など見ると辟易するくらいそのような文言が多いです。
「努力しています」「今後やる予定です」
私には販促のための軽いワードにしか見えません。
もうお腹一杯です。
可能なら現在進行形の形で発言してほしい。
出来ていない、やれもしないことを殊更に宣伝するようなことは絶対にしないと日々思っています。

最近悶々とあれやこれや色々考えることが多いです。

輸入を通して初めて知った葡萄のウイルスについて

4年前からワインブドウの個人輸入を始め、今までに計3回に分けて苗を入れました。

1年目にアメリカワシントン州から入れた苗(穂木)は100個体すべてに異常はなく、隔離圃場を通過しました。

しかし、2年目と昨年イタリアから入れた個体は相当な確率でピノグリウイルスに罹患しており、隔離圃場で焼却処分にあってしまいました。

※2016年アメリカから輸入、2017年、2018年検査⇒100個体中、0個体にてウイルス検出(合格100%)
※2018年イタリアから輸入、2019年検査⇒50個体中、40個体にてウイルス検出(合格20%)
※2019年イタリアから輸入、2020年検査⇒25個体中、21個体にてウイルス検出(合格16%)

ヨーロッパ他地域の状況を聞く限り、フランス・スペインなども相当ひどいようです。
今回は3万円/本くらいです。そこまで惚れ込んでやりたい品種なら別ですが、ヨーロッパからの輸入は全くお勧めしません。
検査の結果「0本」になる可能性だって大いにあるのですから。
だから輸入した品種を軽い感じで分けて欲しいとか言われると「なんて仰いましたか????」と思ってしまうのです。
すみません。
ま、こんなことになってしまうため、ヨーロッパのナーセリーは日本にさらに出したがらなくなります(お互いに問題ありますが…)
数量制限、検査項目の多さ、隔離圃場での時間、価格etc…色々あった上で最後に焼却処分…。
あまりに悲しくてやってられません。
協力してくれた方にも申し訳なくて今回の結果(2019年輸入分)は連絡していません。
ご本人ももう辞めると話されていました…。

どうしてこうもヨーロッパとアメリカで結果が異なるのか。ENTAVとFPSの違いなのか?
ヨーロッパはウイルスに罹患していても結果は大差ないとの見解のようです。
モンティーユの関係者コメントを聞く限りそのようです(だからフランスから大量に苗を入れろ、と)
一方、農林水産省は立場上引っかかった個体はすべて弾く姿勢を全く崩さず、緩和する動きを見せません。
日本には未だかつてウイルス罹患個体は入っていないという見解なので、それを崩すことはできないという立場です。
実際はトランクで持ってきている人たちがいるので入ってきているし、PCR検査などを行う前に入ってきた個体は罹患していた可能性は大いにあるんですけどね。
たた立場上、それは認められないというのもわからなくないです。

そんな葡萄のウイルスの話を今晩JVAのzoom会議で聞けるということなので今から楽しみです。

オーガニックだから…?

有機JASやオーガニックを殊更に謳い、尋常ではない値段で農産物や加工品が販売されている現状があります。

有機、オーガニックならばどんなに高くしてもいいのでしょうか??
オーガニックは消費者への訴求性が強くて、値段が高くても売れるからいいのでしょうか?

こんなことだから有機、オーガニックに対する消費者の目線が「オーガニック?どうせ高いんでしょ」になるんだと思います。
冗談じゃないです。

オーガニックは収量が減るから高くても仕方がないというのは全くの的外れで単純に生産者の逃げ文句だと思っています。

確かに慣行農法より収量は得られません。でも、だからといって単純に高くするのは違うと考えます。
有機、オーガニックでも使用できる資材、植物生理、罹患する病気、作業工程、その他諸々を把握していれば大量に収穫は出来なくとも慣行より少し値が張るくらいで農産物を販売することは可能だと思います。

箆棒な値段の有機農産物を販売している生産者は、本人の努力が間違ったベクトルになっているだけだと思います。

ああ、世間一般へ有機、オーガニックを広めるためには、まずはこの現状がどうにかならないとなと日々考えています。

雪解け本領発揮?

うちに来た子犬が大分大きくなりました。毎日葡萄畑で散歩してますが、4日前まで体が埋まるほどの雪だったのに今日は根開きが見られました。
これでようやくかな?もうあまり降らなくて良いです 笑

向かいの畑も根開きし始めています。

先週、東京と山梨に行き、たくさんの方から学びをいただきました。自分のちっぽけさに気づき、ある意味で牙をむいた好戦的な思考も少しは変えられたらと思います。
そして、今シーズンから認証取得なので、今までもそうでしたが、それ以上に精進しなければと思いを新たにしています。

羊は今日も草に夢中です。

2019年輸入ブドウ苗の引き取り

本日、札幌の植物防疫所へ2019年に輸入したグリューナーの苗木の引き取りに行ってきました。

この時は2クローンを入れたのですが、なんとその殆どがピノグリウイルスに罹患という結果が出てしまいました。
そのため、50個体入れたうち手元に来たのは10個体だけで、残りの40個体は焼却処分されました…。




輸入も一筋縄ではいきません。

手元に届いてからワインになるまでの道のりも然りですが、それ以前の工程が山あり谷ありなのです。
努力してもこればかりはどうにも出来ません。
ナーセリーを選ぶ余裕なんて1mmもありませんので、先方の畑がウイルスに侵されていれば終了という感じなのです。

とりあえず今回は残念な結果でしたが、残った子たちを大事に育てていこうと思い、自宅へ持ち帰りました。

この後は雪の下に入れて春の芽吹き前に畑へ定植しようと思います。
つくばの隔離圃場は土付きで持ち帰らせてくれましたが、札幌は土を落としての引き取りでした。




それと2020年に輸入した苗も確認してきました。
当然ですが、まだ何も起きていませんでした。
この子達で私の醸造用ブドウの輸入作業は一区切りです。
2021年春に植え付けが滞りなく行えるよう、畑の準備&この子達が検査を無事に乗り切ることを祈りつつ隔離圃場を出ました。

じきの畑産ぶどうにて初醸造

10Rでの2019年度のワイン醸造シーズンが先月末から始まりました。
今シーズンも勉強させていただきます!

一方じきの畑では、2年前に植え付けを行ったツヴァイ、ピノブラン、ソーヴィニオンブラン、シャルドネ、グリューナーフェルトリーナの強樹勢の個体で着けていた実を収穫しました。

初収穫は家族で。

全部で9.6kg
シャルドネが一番多い。ということは一番暴れる可能性が大きい…。




そして翌日10Rにて手動式バスケットプレスで初しぼりしました。

量が少なすぎて尺を取るにも正確な値が分からず…。
斗瓶に2日おいたあと、10/6に1升瓶3本に分けて澱引きしました。




さて、今週末はエコビレのツヴァイの収穫です。
これは10Rに持ち込みセミMCにてスティルの赤を造る予定です。
700kgくらいあればいいな。とにかく、ものすごく楽しみです。
その準備として、横浜からの修学旅行生と除葉をしました。
実りが少ないので、病果も多くはなく、収穫前日に病果を抜く作業をして当日を迎えられればと思います。

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